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Linuxの業務利用はなかなか広がらない

日本では業務用デスクトップとしてLinuxが広がりにくい一方で、海外、特にヨーロッパではOSSやLinuxを試す動きが見られます。ただし、運用面の課題から元に戻るケースもあり、定着しているわけでもありません。こうした違いも踏まえて、Linuxの業務利用について触れてみます。
Linuxを業務で使用できない理由は様々ある
導入が困難な企業・現場
Linuxにすべてリプレイスするわけにはいかないのは理解できます。企業として所帯が大きいか、支社・営業所・店舗など現場の数が多いとより難しいでしょう。 コスト面で古いPCを使い続ける状態であれば、一部をリプレイスしても良いのではないかと感じますが、なかなか難しいのが実情です。
意思決定者がWindowsに慣れているため変わらない、という保守的な印象を私は持っています。
Windows環境でもLinux環境でもコストはかかります。 Linux搭載PCにすれば良いわけではありません。移行には課題も多く、慎重な検討が必要です。
Microsoft Officeが動かないから
多くの企業ではMicrosoft Office製品が中心です。皆さんの会社もデスクトップ版Microsoft Officeは基本的にWindows版でしょう。 しかし、アプリケーションというより、人的要因の側面が大きいと感じます。
現在はMicrosoft 365のWeb版があります。閲覧と簡単な編集であれば過不足はないと思います。
LibreOfficeといった代替系アプリケーションもあります。 これこそ癖があって導入したくないのは理解できます。ただ、再現度はかなり上がっていますから、用途によっては困らないと思います。
Google製スプレッドシートから表計算を始めた人は、Excelは使えても敬遠したくなりませんか。
デバイスドライバが一部は未対応
Linux環境で一番難儀するのはデバイスドライバです。 Windows用に開発されるデバイスが多く、なかなかLinux用が存在しないパターンに遭遇します。
デバイスドライバは基本的なものは概ね対応をしています。特殊になればなるほど存在しないケースも多いです。
業種によっては致命的になりかねないため、業務では使えないとなっているでしょう。 これは致し方ないこととはいえ、メーカーもLinux用を配布して欲しいですね。
フォントが異なるから
WindowsともMacともフォント体系は異なります。 画面上のUI表現はもちろんですが、印刷に関してはやや不利です。
印刷機能全般がLinuxでは弱い部分です。これはデバイスドライバとの関係もあります。
これも業種によってはLinuxを選べない要因かもしれません。
Windowsと同じフォントは導入できますが、ライセンスを購入することになります。追加費用はかかります。 とはいえ、フリーのフォントも充実しているためGoogleのNotoフォントシリーズでも、単なるフォントだけなら十分なんですけどね。
ファイルパスが違うから
WindowsはCドライブ、Dドライブとなりますが、Linuxは/(root)で、まさに根本から違います。 システムのディレクトリ構造も違和感があるでしょう。
c:¥ではなくc:/といった違い。
とはいえ、これはMacも同じようにファイルパスはWindowsとは異なります。
コマンド(CLI)が出てくる
WindowsでもPowerShellやコマンドプロンプトがあります。しかし、ほとんどの人は意識せずに使っています。 LinuxだとCLI環境で操作する機会が頻繁に登場します。ここは慣れが必要な部分です。
最近はWindowsにもWSL(Windows Subsystem for Linux)がありますから、ここからLinuxに触れる人も多くなっていることでしょう。
ファイルパスは根本的に異なります。 Windows側のファイルを扱うのには/Program\ Files/のようにスペースはバックスラッシュでエスケープしたり異なります。
実は導入できる環境かも?
社内WebアプリケーションがLinux環境
デスクトップ用途でない裏方のシステムであれば、自社製も業者発注も、そもそもLinuxで動いているパターンがあります。特にWebアプリケーション系はそうでしょう。
別にWindowsクライアントでも良いのですが、Webアプリケーションを使うだけならLinuxでも良いわけです。
企業規模が小さいほどオンプレミス状態だったのも、コストに見合わず減少しています。
よく社内で使うアプリケーションや作業が何かによりますが、ほとんどはOSに依存していないかもしれません。
シンクライアント端末にする
私の経験上、宿泊業のホテル管理システム(PMS)もシステムだけではなく、Excelといったアプリケーションもシンクライアント端末で操作する形式は昔から導入されています。 スペックはそこまで求められません。とても小さいPCで良く、大抵はWindows OSですがLinuxでも問題ありません。
チェーン店は本部一括管理なので、この形式がよく合います。現場のシンクライアント端末にはほとんどデータが残りませんからね。
中には現場ごとにサーバを設置して、シンクライアントとして利用することもあります。大きい組織ほどインターネット経由でしょう。
難点はネットワークが遮断されるとシステムが使えないため、現場の業務が停止するため致命的です。ホテルでいえばチェックインも会計処理もできなくなります。
シンクライアントの構築もいくつか種類がありますから、障害も想定した構築になるでしょう。
リモートPCにする
シンクライアント端末までいかなくても、Windowsサーバが社内にあれば、リモートデスクトップで使えます。 難点は1台を複数人で使うため、個別の設定ができないことです。
現実的ではありませんが、これもクライアント端末のOSがLinuxでも操作感はWindowsです。
OSに左右されない時代
Webサービスが多い
会計処理も昔はローカル管理だったのが、今やクラウドも当たり前の時代です。専用のアプリケーションが確実に動作するであろうWindowsでも構わないのですが、選択肢が増えたので組織が小さくなれば、なおさら選びやすくなっています。
私はメインをMacにしてからWindows歴を超えました。 最初は仕方なくといった部分も多少あって移行したのです。現在は慣れました。
特定のアプリケーションだけWindows環境を用意しなくてはならない時代が長く続きました。今はもう自宅でもほとんどWebサービスがメインですから、OSの違いは大きな問題ではありません。
逆にWindowsはもう十何年と使っていませんが、昔取った杵柄でアプリケーションを使うには抵抗がありません。自宅で使いたいかと言われれば、積極的に使いたいとは思いません。
人の問題
技術的な問題よりも、Linuxに対する情報不足から敬遠されていると感じます。シンクライアント端末ならば、OSが違ってもアプリケーションが変わるわけではないです。業務で使う操作だけでよく、余計な操作は必要ないからです。
これがデスクトップ用途としてWindowsの置き換えと考えると困惑します。イライラするのも理解できます。
ファイルシステムも操作も何もかもまるで根本から異なると感じるからです。(実際に異なりますが)
- Linuxについて知らない
- 未知のものは怖い
- Windowsではない
スマホでも、iPhoneとAndroidで異なりますから、片方しか使わない人がいるのと同じです。 Linuxだとしても同じような感覚なんですが、あまりにも知られていないから別枠なんでしょうね。
お薦めのLinuxディストリビューション

Linuxといっても実際には種類が多く、正確には「Linuxディストリビューション」と呼ばれます。これは、Linuxを実用的なOSとして利用できるようにまとめた配布形態を指します。
そもそも「Linux」はカーネル(kernel)を意味し、OSの中核となる部分です。これに各種ソフトウェアやライブラリ、ツールなどを組み合わせて、ひとつのOSとして構成されたものに名称が付けられます。
「Linuxディストリビューション = Linuxカーネル + OSとして動作させるためのソフトウェア一式」

これらは総称してLinuxと呼ばれることもあり、一般的にはOS全体(Windows / macOS / Linux)の一つとして使われます。そのため区別がつきにくく、個別にはDebianやUbuntu、Linux Mint、Red Hat Linuxといった名称で呼び分けます。
デスクトップ用途
Ubuntu
最もシェアが多く、定番のディストリビューションになっています。 利用者が多いため情報が豊富で安心です。
Linux Mint
UIが分かりやすく、余計な設定も少ない印象です。初学者にも最適です。
Fedora
新しい技術を早く使えるためか、開発用途と相性が良い。中級者向け。
サーバ用途
Debian
とにかく安定重視で長期運用を考えるなら最適。 余計なものが入らない。様々なディストリビューションの派生元となっています。
Ubuntu Server
デスクトップ同様に実務バランスが最強。 やはり情報量が豊富にあります。サーバでも広く使われています。
Rocky Linux(または AlmaLinux)
https://rockylinux.org https://almalinux.org
旧CentOS系の後継。企業用途・商用に強い。RHEL互換でこちらも安定運用向きです。 RHELから枝分かれしたとき、2つは考え方の違いが中心で、実用上の差はほとんどありません。Rocky Linuxの方がRHELを忠実に再現しています
デスクトップ / サーバ用途で迷ったら、Ubuntu / Ubuntu Server、またはLinux Mint / Rocky Linuxがお薦めできます。 実際にインストールして使ってみてください。操作感覚や見た目は好みもありますからね。
若い人やPC経験が浅い人へ
Linuxの情報と使用経験は、Linuxに触れていないと理解し難いと思います。特に日本ではLinuxに馴染みがないのは今も昔も同じです。
今からどの世代もLinuxへ移行するとは思いませんし、学習コストを考えると非現実的です。
しかし、現在まだ若い人や、年齢問わずPC経験が浅い人は、Linuxをサーバでもデスクトップでも触ってもらいたいですね。
私は思うのです。もしWindowsの操作や使いこなしに自信がないなら、別にLinuxでも同じような気がしています。
むしろ、長い時間をかけてWindowsの操作やExcelといったツールを使いこなしてきたなら、今からLinuxは酷な話に思えます。それだけの経験があればLinuxも無理なく使えると思いますけどね。

Linuxの何が良いのかというと、OSとして無料なわけですから、余っているPCでも気軽に触れられるところです。 練習とは言いませんが、触れることはWindows/macOSよりも敷居は低いはずです。
コマンド操作のCLIはとても難しく感じるのは無理もありませんが、デスクトップ用途なら、WindowsやmacOSのように大部分をマウスだけで操作できるようになりました。
OSS(オープンソースソフトウェア)もたくさんあります。使いたいソフトウェアも見つかると思います。
Linuxは特別なものではなく、選択肢の一つに過ぎません。最初から理解しようとせず、余っているPCで一度触れてみる程度で十分です。
使える範囲で使えばよく、合わなければ無理に続ける必要もありません。 費用がかからないため、そうした軽い試し方ができる点こそ、Linuxの一番の利点だと思っています。